【1ページ目】2011年 映画「妹の恋人」統合失調症とは?
統合失調症

統合失調症を描く映画やテレビドラマは、深刻で重い作品が多いようですが、「妹の恋人」は軽いタッチで現代風です。コミカルでラブロマンスもあり、安心して見ることのできる映画です。主役のサムは若かりし頃のジョニーデップが演じており、これは見逃がせません。
ヒロインのジューンは、幼い頃に火事で両親を亡くして以来、そのショックで心を病んでしまい、統合失調症を発症してしまいます。家で気ままに好きな絵を描いて過ごしていますが、兄に雇われてやってくる家政婦が気に入らず難癖をつけてしまうので、家政婦は毎回すぐにやめてしまいます。遊びで兄と卓球をしていても、「ズルしたのは兄だ」と言い張り、挙句の果てにものを投げるなど聞き分けのない一面もあります。
そして、腹いせに火遊びを部屋の中で悪びれもなくしてしまいます。また、外出する時にシュノーケルをかぶり片手に卓球のラケットを持ち交差点で騒ぎを起こし、事態を収拾させようとする警官に「私には外出する権利がある」と告げるなど、まとまりのない言動も見られます。これは、支離滅裂と呼べる病気の症状です。このように、もともとの気ままな性格に加えて病気の症状も重なると、自立して日常生活を送ることは難しくなっていきます。

一方、兄ベニーはただ一人の家族であるそんな妹ジューンを自分のこと以上に大切に見守ってきました。町の自動車修理屋で働いていますが、仕事中もいつもジューンのことが気になり、しょっちゅう電話をしています。ジューンの世話に追われてしまうため、せっかく魅力的な女性からデートに誘われても断ってしまう始末です。このままだと自分の生活が潰れてしまうと思いつつも、妹の主治医から勧められるグループホームに入れるかどうかで頭を抱えます。そんな折、ポーカーゲームで負けた罰ゲームとして友人の従兄弟であるサムを居候させることになります。
学習障害

転がり込んできた居候のサムは、風変わりな出で立ちでほとんど無口ですが、パントマイムなどの大道芸に才能があり、彼のしぐさや芸は見る者を虜にしていきます。そして、そんなサムにジューンは好意を寄せていきます。サムはビデオ屋でちゃんと接客ができていますが、読み書きができないという点で学習障害が疑われます。
ジューンとサムは出会った瞬間からお互い惹かれあい、その素朴で純粋に相手を思う気持ちが、見ている私たちにも伝わってきます。
もともと、精神障害者も根は私たちと同じです。しかし、いまだに、精神障害者=「頭がおかしい」=「何をするか分からない」という図式が昔から根強く残っているのも事実です。実際、テレビや映画の中で怪物のような犯罪者が描かれ、よく誤解を招いています。
この映画の中で触れられている劇中映画「高校生連続殺人鬼」でも相手を切り刻み返り血を浴びて高笑いしている殺人鬼のシーンがあり、衝撃的です。これはあえて反面教師として教訓的に出した脚本家の意図があると思いますが、皮肉なものを感じます。精神障害者と犯罪者は全く別の次元で捉えてほしいです。まれに凶悪な犯罪者が精神障害者であったというニュースが流れると、それが誇張されていくのではないかと悲しい気持ちになります。

この映画では、ジューンとサムは偶然的な出会いをしますが、実際には作業所、デイケア、障害者のイベント、病院・クリニックの外来などで障害者同士が出会い仲良くなることは多々あり、結婚することも少なからずあります。2人の惹き合う気持ちがクライマックスに達し、手で油絵を描くシーンや風船でメロディを奏でるシーンは他愛もないですが、BGMがぴったりで幻想的でロマンチックです。
一方、兄ベニーとウェイトレスで友達のルーシーとの恋仲は、お互いの気持ちを薄々感じつつもその気持ちの表し方が儀式的で遠回し、時にひねり過ぎて回りくどく、そして自分の気持ちとは裏腹の態度を示し駆け引きをしようとします。ちょうどジューンとサムとの純で正直な関係とは対照的で、その違いが際立っていておもしろいです。





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