【3ページ目】2013年6月号 ドラマ「ガリレオ」システム化と共感性

コミュニケーションのコツ―表1

もし湯川先生が、あなたの職場で仕事をするとしたら何が起きるでしょうか? どうしたらよいでしょうか? 彼のようにシステム化が高く共感性が低い人は、実際に私たちの職場にもいます。私たちは、湯川先生のキャラクターをじっくり見ることで、この気遣いがうまくできていない人へのコミュニケーションのコツを導き出すことができます。それは、大きく3つあります。

①客観化―問題点を具体的に目に見える形にする

1つ目は、問題点を具体的に目に見える形に示すことです(客観化)。共感性がお互いに高ければ、そんなに言葉にしなくても、「空気」を読んで分かり合えます。ところが、共感性が低い人には、何が問題なのかをなるべく具体的な言葉にして細かく指摘することが必要です。

例えば、あなたが湯川先生に「患者さんには丁寧に接するように」と指導したとしても、「丁寧」の中身が伝わりにくいのです。この場合は、「あの時、あの場所で、あの患者に対して、あのように接したのは、こういう理由でだめです」「次からはこういう時は、こうしましょう」と言います。

さらに、文字や絵・イラストにして渡すのも効果的です。仰々しいように見えるかもしれませんが、目に見える形にすること(視覚化)は、システム化の心の働きを大いに刺激します。ドラマでも、湯川先生は、閃いた時は、数式を書き出し、目に見える形にしています。視覚に訴えるのが大事なのです。

②構造化―枠組みを作る

2つ目は、枠組みを作ることです(構造化)。これは、すでに湯川先生がある程度実践していることでした。共感性の低さから、暗黙の了解や常識に気付きにくいので、システム化の心の働きを借りて、問題が起こる前にあらかじめ細かい具体的な指示を出し、パターン認識やパターン学習をさせることです。

例えば、あなたが湯川先生に指示することの1つとして、目の前で患者さんが泣き出した時は、不思議がって顔を覗き込むのではなく、そっとハンカチやティッシュを渡し、見守るという行動のパターンです。これらのパターンをたくさん蓄積し、引き出しを持っていれば、ある程度のコミュニケーションはスムーズに行うことができるようになります。

③限界設定―限界を示す

3つ目は、限界を示すことです(限界設定)。湯川先生なら、高いシステム化の能力で、共感性をカバーしつつ、病棟業務を行うことができるでしょう。しかし、私たちの身近にいる気遣いができない人は、彼ほどシステム化の能力が高くないかもしれません。また、わがまま、思い上がり、ひねくれなどの性格(パーソナリティ)の問題が重なっている場合もありえます。その場合は、やるべきこと(到達目標)をはっきりさせて(客観化)、試験的な期間(1年以内)を経て、それでもうまく行かない場合はその職場には向いていないことを、本人も職場の上司も納得する形に持っていくことです。
また、周りのサポートも大事ですが、どこまで助けるかの線引きもあらかじめ決めておくことです(限界設定)。もちろん、その人を職場が抱え込むことを皆が良しとするなら、それは職場組織の1つのあり方(企業文化)です。しかし、情にほだされたり、とにかく何とかしなければという義務感からの上司の個人的な抱え込みは、本人も上司もお互いを不幸にしてしまうと言えます。

★表1 コミュニケーションのコツ

ジョブマッチング―何に向いている?―表2

それでは、気遣いがうまくいかない人、つまりシステム化が高くて共感性が低い人に向いている職種は、具体的に何があるのでしょうか? 一般職については、まさに、湯川先生が携わっている研究職(専門職)です。研究は、システム化が発揮できて、共感性はあまり求められません。また、私たちが携わっている医療職については、システム化も共感性も両方必要ですが、科によってそのバランスは変わってきます。

このように、その人その人の向き不向き(適性)を見極めていく必要があります(ジョブマッチング)。

★表2 ジョブマッチング