【1ページ目】2014年8月号「結婚できない男」空気を読まない

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・こだわり(想像力の障害)
・発達障害(自閉症スペクトラム障害)
・共感性
・職人気質
・パターン認識
・構造化
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「なんで空気を読まないの?」

みなさんがかかわる患者さんやいっしょに仕事をするスタッフたちの中で、「なんで空気を読まないの?」と思わず驚きの声を上げそうになったことはありませんか? 世の中にはいろんな人がいます。できることなら誰とでもうまくやっていきたいですよね。でも、うまくいかなくなった時、どう考えたらいいのでしょうか? どうしたらいいのでしょうか?

なんで空気を読まないの?

今回、2006年に放映されたドラマ「結婚できない男」を取り上げます。これは、今までにない異色の恋愛ドラマで、みなさんの中にも覚えている人が多いかと思います。婚活が社会現象となって久しく、結婚したくてもなかなかできない男女が増えた今の世の中を絶妙に映し出しています。主人公はなぜ結婚できないのでしょうか? 世の中はなぜ結婚しづらくなったのでしょうか? これらの疑問も踏まえて、これからストーリーを追って見ていきましょう。

空気を読まない

主人公の信介は、ルックス良く、建築家として成功し、経済的にも恵まれている39歳の独身男性です。高身長、高学歴、高収入で一時もてはやされた3高も満たしています。一見して女性を引き付けるものを持ってはいます。しかし、出会った女性はことごとく彼にうんざりし、すぐに彼の元を去っていきます。なぜでしょうか?

空気を読まない男

いくつか分かりやすいシーンがあります。信介がパーティ会場で初対面の女性に接するシーンが印象的です。雨でずぶ濡れの地味な上着で登場します。部下の英治に営業をするよう頼まれていたのにもかかわらず、「(営業の相手は)キッチンの重要性を理解していない。議論にならん」と言い放ちます。女性から建築家になった理由を聞かれると、「神のお告げがありまして」と分かりにくい冗談を言います。すかさず「今のギャグです」と英治にフォローされて、何とか場が保たれています。自分の好きな映画の話を一方的に始める伸介に対して、女性は苦し紛れに「そのうち見ます」と言うと、伸介は「そのうちなんて言って、見たやつはいませんよ」と返します。女性は、何とか場を和ませようとして「このスパゲティおいしいですよ」と差し出すと、伸介は「ちょっと冷めてる」「これちょっと細いから、厳密にはスパゲッティーニ、つまりあなたはほんとは『スパゲッティーニおいしいよ』と僕に言うべきなんです」と答えるのです。最終的に、女性はうんざりして逃げてしまいますが、伸介は英治に「構わん」と言い放ちます。このように、伸介は、相手の話も聞かず、一方的に話し、思ったことをそのまま口走り、うんちくをこね、そしてこりないのです。

別のシーンでは、マンションの隣人であるみちるがお金に困り、水商売をやり始めた姿を見て、何とか助けたい思いからお金を貸そうとします。信介は「困ってんの見たくないから」と言いつつ、受け取るのにとまどっている彼女を見て「客も我慢している」「もっと若くて女子大生みたいなのがいいのに」ともっともらしく言い放ってしまいます。また、バスツアー参加では、バスガイドの話に割り込み、より詳しいうんちくを得意がって披露し、バスガイドを泣かせてしまいます。年下の女性とのデートの時に相手が水族館で「魚、大好き」と言うと、信介は「魚より肉が好きだな」と答えます。長年の仕事パートナー沢崎がヘッドハントされるシーンでは、引き留めようとして出た信介の言葉は「便利で都合のいいやつはお前しかいない」との本音でした。急に近付いたり、顔を近づけて話すなどの特徴もあります。

どうやら、彼には「空気が読めない」「空気を読まない」という言葉が当てはまりそうです。