連載コラムシネマセラピー
私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション、メンタルヘルス、セクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。
私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション、メンタルヘルス、セクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。
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・主流秩序
・過剰適応
・排他性
・独裁国家
・多様性
・自己効力感
・ほど良い(グッド・イナッフ)
・中学受験
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みなさんは子どもをパーフェクトにさせたいですか? 勉強ができてスポーツができて、親や先生の言うことをよく聞くような? やがて、パーフェクト(有名)な学校に合格させて、パーフェクトな会社に就職させて、パーフェクトな人と結婚させて・・・。そんな子どもを育てる自分はパーフェクトな親になるでしょうか?
一方で、そんなパーフェクトであることに危うさはないでしょうか? それに気づかせてくれるのが、映画「ドラえもん のび太と空の理想郷」です。今回の舞台は、誰もがパーフェクトになれる楽園「パラダピア」。そこで、ドラえもんやのび太たちが冒険を繰り広げます。特に今回は、子どもだけでなく、大人も楽しめ考えさせられるストーリーになっています。
この記事では、この映画を通して、パーフェクトであると思えること(自己効力感)とパーフェクトでなくてもいいと思えること(自己肯定感)をテーマに、より良い子育てのあり方、そしてより良い社会のあり方をいっしょに考えてみましょう。
のび太は、出木杉くんから教えてもらった空想の国ユートピアを探し求めるなか、ついに未来の世界で、パラダピアを見つけます。そこで出迎えるパーフェクトネコ型ロボットのソーニャから、パラダピアがどんな国かを聞かされます。
それでは、まずその特徴を大きく3つあげてみましょう。
①争いがない
ソーニャは説明します。「人口は400人ほど。みな、穏やかでルールを守り、大人はよく働き、子どもはよく勉強をします」「ここは争いも犯罪もない、誰もが幸せに暮らせる世界」と。これは、出木杉くんのセリフ「ユートピアは・・・争いも戦争もなく、飢えることもない、誰もが幸せに暮らせる国なんだ」に重なります。
1つ目は、争いがないことです。
②みんなパーフェクトになれる
ソーニャは続けて「パラダピアには不思議な力があるのです。のび太様もここで暮らせば、勉強もスポーツもできるパーフェクト小学生になります」と言います。実際に、パラダピアの学校では、みんな笑顔で親切です。のび太は、何とか算数の問題を解くとみんなから祝福されて幸せそうです。
2つ目は、みんなパーフェクトになれることです。
③偉い人がすべて決めてくれる
ソーニャはのび太たちを大聖堂に案内し、三賢人を紹介します。そして、「サイ様は科学、ポーリー様は政治、カルチ様は文化芸術をつかさどる賢人。このパラダピアは3人の天才が創り上げた理想の国なのです」と説明します。彼らが、パラダピアで起きるものごとをすべて決めているというわけです。
3つ目は、偉い人がすべて決めてくれることです。
パラダピアとは、争いがなく、みんなパーフェクトになれて、偉い人がすべて決めてくれる、まさにユートピアのようです。しかし、実はパラダピアにはある大きな秘密が隠されていました。これは、パーフェクトであることの危うさにつながります。次のページから、その危うさを3つあげてみましょう。なお、ネタバレになりますので、ご注意ください。