【4ページ目】2013年7月号 ドラマ「泣かないと決めた日」フレネミーとは?

フレネミーから身を守るには?

万里香のようなフレネミーは、集団に潜んでいます。そして、同時に、実は、フレネミーの心は、私たちのそれぞれの心の中にも潜んでいます。知らずに、フレネミーに振り回され、そして、うっかり自分が噂を流してしまいフレネミーのように振り回しているかもしれません。

大事なことは、フレネミーの特徴と接し方を具体的によく知っておくことです。

(1)フレネミーの特徴

まず、万里香が神出鬼没であったように、フレネミーは、情報収集の能力が高く、常に嗅ぎ回り、詮索好きです。そして、フレネミーの口癖は、それほど近い間柄ではないのに連発するワード、「ここだけの話」です。これは、親密さを装うワードで(演技性)、要注意です。なぜなら、実際には「ここ」だけの話ではないからです。

そして続く言葉は、「師長(リーダー)が、あなたのこと、むかつくって言ってたよ」です。あなたが知りたくないことをあえて伝えてくるのです(操作性)。聞いたあなたとしては、心を揺さ振られます。

(2)フレネミーへの接し方

ここでまず大事なことは、まず、この「伝言ゲーム」の罠、つまりフレネミーの意図に気付くことです。「なぜこの人はそれほど親しくないのに、私の悪い噂をあえて伝えに来たのだろうか?」と疑うことで、フレネミーであることが特定できます。

そして、他人に関してでもあなたに関してでも、それほど親しくないのに悪口を言う人には手の内を見せないことです。間違っても、「教えてくれてありがとう」と感謝しないことです。ましてや、フレネミーに師長への不満をぶちまけないことです。これでは、フレネミーの思うつぼになってしまいます。安全なかわし方としては、「ええ、そうなの?」と話は聞きつつ、「私、鈍くて分からない」と言います。また、可能な限り、1対1にならないことです。あやしいと思ったら、複数で対応することが得策です。

また、日々の心掛けとして、フレネミーには、噂話だけでなく自慢話もしないことです。当たり障りのない話だけにとどめ、心の間合いを取ることです(心理的距離)。特に、自慢話は、フレネミーの最も勘に触ることです。自慢話は、味付けを変えれば、いとも簡単に悪い噂に化けてしまいます。つまり、噂や自慢はそれ自体は楽しいのですが、その話をする時は、相手を慎重に選ぶ必要があります。

ドラマの後半、噂を利用した万里香の悪事は、繰り返されるうちに、逆にその噂によってばれていきます。結局、繰り返す不正はやがて明るみになるものです。こうして、彼女は、職場に居づらくなってしまったのでした。このように、フレネミーは、程度にもよりますが、時間が経てば、やがていなくなることが分かります。なぜなら、噂の本来の役目である不正(裏切り者)のあぶり出しは常に働いているからです。

私たち日本人は、トラブルで目立つことは迷惑になり恥ずかしいと思いがちです。しかし、万里香の悪事から学ぶことは、職場でフレネミーとトラブルが起きた時は、客観的な事実をオープンにする、つまり泣き寝入りしないことです。少なくとも、管理者に報告することです。また、注意点は、主観的な感情まではオープンにしないことです。なぜなら、そうすると自分もフレネミーになってしまうリスクがあるからです。

こうすることで、フレネミーのあぶり出しや抑止がより有効になっていきます。

★表2 フレネミーの特徴と接し方

まとめ

原始の時代、私たちの祖先は、明日の食糧の確保に不安を抱えながらも、助け合い、そして裏切りを牽制し、たいした情報のない中、生きるか死ぬかの過酷な環境を生き抜いてきました。それに比べると、現代の社会は、法律によって権利が守られ、衣食住が満たされ、情報もオープンで確かなものになってきています。

原始の時代の心を引き継いでいる現代の私たちの心は、時に万里香のような心になってしまうことがあります。つまり、裏切りの心は、助ける心と同じくらい人間の本質的なものだということです。この心の働きに気付き、見つめ直すことで、私たちの中に潜むこの操作性の心をコントロールし、乗り越えていくことができるのではないでしょうか。

参考文献

1)北村英哉・大坪康介:進化と感情から解き明かす社会心理学、有斐閣アルマ、2012

2)長谷川寿一・長谷川眞理子:進化と人間行動、東京大学出版会、2000

3)ロビン・ダンバー:友達の数は何人?、インターシフト、2011