【1ページ目】2013年11月号 ドラマ「Mother」【前編】過剰適応

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・虐待のタイプ
・代償性過剰発達
・条件付きの愛情
・機能不全家族
・ヒーロー
・ピエロ
・スケープゴート
・ロスト・チャイルド
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過剰適応

皆さんは、職場で「なんであの人はがんばりすぎるの?」または「なんで自分はがんばりすぎるの?」と不思議に思ったことはありませんか? 特に医療現場では献身的にがんばることが美徳でもあります。しかし、燃え尽きて、体や心を壊し、けっきょく休職してしまう人、退職してしまう人、最悪のケースとして自殺してしまう人もいます。

がんばりすぎる理由は、まず、その人のもともとのこだわりや完璧主義などの性格によるものであると考えられます。それでは、なぜそのような性格になったのでしょうか? もちろん、それはもともとその人の持っている遺伝的な特性(個体因子)であるということは言えます。しかし、それと同じかそれ以上に考えられることは、そんな性格になってしまった、またはそうならざるをえなかった生い立ちや家族関係(環境因子)です。

今回は、2010年に放映されたドラマ「Mother」を通して、このがんばりすぎること(過剰適応)の源となる家族関係、特に母性と愛着について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

あらすじ

主人公の奈緒は、30歳代半ばまで恋人も作らず、北海道の大学でひたすら渡り鳥の研究に励んでいました。そんな折に、研究室が閉鎖され、仕方なく一時的に地域の小学校に勤めます。そこで1年生の担任教師を任され、怜南に出会うのです。そして、怜南が虐待されていることを知ります。最初は見て見ぬふりの奈緒でしたが、怜南が虐待されて死にそうになっているところを助けたことで、全てをなげうって怜南を守ることを決意し、怜南を「誘拐」します。そして、継美と名付け、渡り鳥のように逃避行をするのです。

虐待―表1

奈緒は怜南に出会った当初、怜南の体にいくつものあざがあることに気付きます。さらに、同僚の教師より、度々倒れることや体の成長が遅れていることから、栄養が足りていないことが心配され、虐待の可能性が指摘されます。そして、虐待の生々しい状況が描かれます。

★表1 虐待のタイプ