連載コラムシネマセラピー

私達の身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション(心理学)メンタルヘルス(精神医学)婚活(恋愛心理学)を見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。

【3ページ目】2020年6月号 テレビ番組「M1グランプリ」-【続編・その1】実はツッコミはセラピー!?

考えさせる

3つ目は、考えさせることです。主に3つあげられます。これは、認知行動療法に分類されます。認知行動療法とは、考え方(認知)に働きかけて、感じ方(感情)や行動を変えていくセラピーです。主に3つの特徴をご紹介します。


①いっしょに考える
・ミルクボーイの「リターン漫才」(2019)
ボケ:「うちのオカンが好きな朝ご飯の名前を忘れたらしく」
ツッコミ:「ほなおれがオカンの好きな朝ご飯、いっしょに考えてあげるから」
ボケ:「甘くてカリカリしてて、牛乳とかかけて食べるやつ」
ツッコミ:「そりゃコーンフレークやないか。その特徴は完全にコーンフレークやないか」
ボケ:「死ぬ前の最後のご飯もそれでいいと言っている」
ツッコミ:「ほなコーンフレークと違うか。人生の最後がコーンフレークでええわけないもんね。コーンフレークはね、まだ寿命に余裕があるから食べてられんのよね。コーンフレーク側もね、最後のご飯に任命されたら荷が重いよ」
→広げるツッコミ。ボケを真面目に理解しようとするあまりに、ツッコミが振り回されているおかしさがあります。

1つ目は、いっしょに考えることです。これは、共同意思決定(SDM、shared decision making)と呼ばれます。


②プラス面に目を向ける
・ぺこぱの「肯定ツッコミ」(2019)
ボケ:「どうも~ぺこぱのしゅうぺいでーす!」(ツッコミの前に立つ)
ツッコミ:「いや、かぶってる・・・ならおれがよければいい」(中略)
ボケ:(タクシー運転手になって)「ぶーん、どーん!」
ツッコミ:「いやー痛ってーな・・・て言えてる時点で無事で良かった。無事であることが何より大切なんだ。時を戻そう」
ボケ:「ぶーん、どーん!」
ツッコミ:「いや、2回もぶつかる・・・ってことはおれが車道側に立っていたのかもしれない。もう誰かのせいにするのはやめにしよう」
→ボケを否定せずに何とか理解しようとするツッコミ。ツッコミでありながら見た目、しゃべり方、動きが奇妙というボケ。

2つ目は、プラス面に目を向けることです。これは、リフレーミングというスキルです。セラピスト(ツッコミ)にスキがあったりわざとぼけることで、クライエントの主体性を引き出すことができます。

③俯瞰する
・マヂカルラブリー(2018)
野田クリスタル:フレンチのマナーについてシミュレーションをすると言って、何かになりきった演技をする。
村上:「ねー、もう違うよね、ねー。地面に魔方陣描いて、自分の血を垂らすなんて。何を召喚しようとしてる?化け物みたいなやつ出てきちゃってる」
→ボケの状況を説明し続けるツッコミ

・FUJIWARA藤本
「全然ウケへんやんけ、これ!」
「自信満々に言ったのにスベったやんけ!」
「なんやねん、この変な空気!」
→セルフツッコミ

・オードリー(2008)
春日:「風呂だけにかくせき(客席)をゆざませて(湯冷めさせて)・・・」
若林:「噛んでんじゃねえよ!」
春日:「おまえが何とかしろよ!」
若林:「できねーよ。これ何とかできたら、もっと最初から来れるだろ決勝に!」
→ボケが噛んでしまったことに対して、即興的(即興風?)に自分たちの漫才自体にツッコミを入れる。「メタ漫才」と呼ばれます。

3つ目は、俯瞰することです。これは、マインドフルネスに通じます。マインドフルネスとは、自分自身を実況生中継すること(メタ認知)で意識を研ぎ澄まし冷静になることです。

★表1 ツッコミの精神医学

その2に続く »