連載コラムシネマセラピー

私達の身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション(心理学)メンタルヘルス(精神医学)婚活(恋愛心理学)を見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。

【1ページ目】【前編】なんで倦怠期になるの?

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・夫婦関係
・かかあ天下型
・亭主関白型
・愛着スタイル
・ストレンジ・シチュエーション法
・システム化と共感性
・カサンドラ症候群
・ジェンダーギャップ
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夫婦でいるみなさんやパートナーのいるみなさん、倦怠期でお困りのことはありませんか? 倦怠期とは何でしょうか? なぜ倦怠期になるのでしょうか? そもそもなぜ倦怠期は「ある」のでしょうか? そして、どうすれば良いでしょうか?

これらの答えを探るために、今回は2018年のテレビドラマ「あなたには帰る家がある」を取り上げます。このドラマは、夫婦関係の「あるある」が満載であり、うまく行かなくなっていく夫婦のよくある日常を生々しく描いています。

このドラマを通して、夫婦関係を発達心理学的に、進化心理学的に、そして文化心理学的に掘り下げます。そして、夫婦関係のより良いあり方(マインド)とより良いやり方(スキル)をいっしょに考えていきましょう。

倦怠期とは?

このドラマには、2組の倦怠期の夫婦が登場します。まず、この2組の夫婦を通して、2つの典型的な夫婦の倦怠期を明らかにしてみましょう。

①真弓と秀明-かかあ天下型
1組目の夫婦は、41歳の真弓と39歳の秀明です。12歳の麗奈との3人暮らしです。真弓と秀明は、行きつけのカレー屋の店主の圭介に、別々のタイミングでそれぞれ夫婦関係の不平不満を吐き出します。真弓は、「家事のこと何にも分かってないんだよ。家のこと何にもやらないから」言います。一方、秀明は、「常に上から来るんだよ。マウンティング病だよ。玄関のドアを開けて、カバンを置く前に文句。1でも返そうもんなら、100倍になって返ってくる」と言っています。

1つ目は、かかあ天下型です。これは、妻が夫より強い夫婦関係です。妻が夫を一方的に責め立てるために(攻撃性)、夫は妻を腫れ物扱いして、あえて何もしないことによる反撃をしています(受働攻撃性)。結果的に、お互いに歩み寄りができずにうんざりしている状態が続いています。しかし、子どもがいるために、かろうじて夫婦関係は維持されています。

②亭主関白型-太郎と綾子
2組目の夫婦は、47歳の太郎と43歳の綾子です。太郎の両親(舅と姑)と16歳の慎吾との5人暮らしです。太郎は、外出先でのトイレの後の手洗いでも、綾子に太郎のハンカチを持たせ、自分の手を拭かせています。そして、太郎は口癖のように「誰のおかげだ?」と綾子にたずね、「あなたのおかげです」と言わせています。また、食事の時は、綾子は、姑や舅から「梅干し!」「ぬか漬けなかったっけ?」と注文され、けなげに給仕しています。良く言えば良妻賢母、悪く言えば召使いです。

2つ目は、亭主関白型です。これは、夫が妻より強い夫婦関係です。夫が妻を言いなりにさせています。妻が我慢して反抗しないため、一見すると夫婦円満が維持されています。

倦怠期からどうなる?

倦怠期とは、夫婦が、その関係性に疲れ、面倒くさくなり、嫌気が差している時期であることが分かりました。この心理は、特に夫婦関係のストレスをため込んでいる弱い側に顕著です。それでは、倦怠期からどうなるのでしょうか? ここで、倦怠期によるリスクを大きく3つあげてみましょう。


①不倫
秀明の営業の担当先の家が太郎と綾子であったことから、秀明と綾子は出会い、夫婦関係による葛藤や寂しさをお互いに満たすべく、W不倫に至りました。

1つ目は、不倫です。さらに、不倫がなかったとしても、子どもが成人して自立すれば、いっしょにいる必要がなくなるので、その時点から離婚のリスクが高まります。また、相手の稼ぎを当てにしている場合、相手が退職した時点から離婚のリスクが高まります。いわゆる熟年離婚です。

②母子密着
真弓は、もともと専業主婦として娘の麗奈の中学受験にいっしょに励んでいました。娘の第一志望の合格を自分のことのように喜んでいます。

2つ目は、母子密着です。子育てに熱心であることは、それ自体良いことです。ただ、夫婦関係がうまくいっていない分、夫が仕事に没頭するように、妻は子育てに没頭します。そして、子どもを自分の分身のようにとらえ、子どもをコントロールして、子どもを心理的に自立させないようにしてしまうリスクがあります。この結果が、不登校やひきこもりです。また、子どもが巣立ってしまえば、その反動で無気力になるリスクも高まります(空の巣症候群)。


③嫁姑問題
姑(太郎の母)は、綾子を召し使い扱いするだけでなく、「だめな嫁だよ」とたびたび綾子をなじっています。

3つ目は、嫁姑問題です。ただでさえ、嫁と姑の関係は危ういものなのに、夫婦関係がうまくいっていない分、姑と夫との親子関係が強まり、姑が強くなって夫婦関係に介入することで嫁(妻)が孤立するリスクがあります。