【2ページ目】2025年2月号 テレビドラマ「説得」親が輸血だめなら子どももだめ!?―医療ネグレクト

輸血禁止の教えに子どもはどうすればいいの?

荒木夫妻は、以前に健が宿題の読書感想文を家で音読していた時のことを回想します。健は「・・・王子はお父さんをとても尊敬していたのです。僕も王子のようにお父さんの言うことをよく聞いて、信仰の道にがんばりたいと思います」と誇らしげに締めくくっていました。また、事故が起きる3週間前にも、母親が「交通事故起こしても、輸血してあげられないんだから」「本当に気を付けてね」と念押ししていました。健は「うん、いいよ」と軽く言っていました。これらのやり取りをもとに、荒木夫妻は、自分たちだけでなく、健も輸血を拒否する意思を持っていると考えていました。

最後の最後で医師たちが健に直接確認しようと、「生きたいだろ?」と大声で呼びかけます。しかし、時すでに遅く、彼は返事をしません。そこに立ち会っていた荒木は、あとで「健は生きたいって。生きたいって言ったんだ。おれには分かった」と打ち明けます。実際の事件では、その男の子は、医師から「輸血してもらうようにお父さんに言いなさい」と呼びかけられると、「死にたくない。生きたい」と訴えていました。

当然ながら、小学5年生の子どもが、いくら信仰心があるからと言って、そのために死を選ぶことは考えにくいです。彼が信仰の道にがんばると宣言し、輸血禁止に同意していたのは、そうでもしなければその家で生きていけないと思っていたからでした。つまり、子どもには、最初から選択肢などないのでした。

彼の言動は単純で、教えに沿った発言をしたら親が喜ぶから、ただそうしているだけでしょう。逆に、教えに少しでも疑問を抱いたことを口走ればどうなるでしょうか?

ドラマでは描かれていませんでしたが、実際には、親から「お前はサタンだ」と激怒され、むち打ち(これも教えの1つ)が行われます(*1)。明らかに、親が宗教を子どもに強要しています。これは、宗教的虐待と呼ばれています。また、このような親に育てられた子どもは、「宗教2世」「カルト2世」と呼ばれています。

なお、一般的な子ども虐待の詳細については、以下をご覧ください。


>>【子ども虐待】