連載コラムシネマセラピー
私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション、メンタルヘルス、セクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。
私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション、メンタルヘルス、セクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。
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・契約結婚
・プレナップ
・内発的動機付けと外発的動機付け
・進化心理学
・攻撃
・無主張
・DESC法
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みなさんが望む結婚は、お見合い結婚? 恋愛結婚? それとも??? 昔はお見合い結婚がほとんどでしたが、今は恋愛結婚がほとんどになってきています。一方で、離婚は、3組に1組の割合にまで増えて、しかもさらに3組に1組は、離婚はしないまでも結婚生活に満足していないと言われています。よって、結婚がうまく行くのは、たった残りの3組に1組だけです。こんな不幸なことがあって良いのでしょうか? そんな中、最近は結婚の新しい形として契約結婚が注目されています。
契約結婚とは何でしょう? なぜ注目されるのでしょうか? そもそもなぜ結婚をするのでしょうか? さらには、なぜ結婚は「ある」のでしょうか? 未来の結婚のあり方とはどんなものでしょうか? そして、より良い結婚生活を送るにはどうすれば良いでしょうか? これらの答えのキーワードとなるのは、アサーションという心理療法です。
今回、アサーションをテーマに、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」を取り上げます。主人公のみくりは25歳。大学院まで卒業するも無職の身で彼氏もいません。そんな中、父親のつてで、独身の会社員の平匡(ひらまさ)、35歳の家で家事代行スタッフとして働き始めることになります。そして、みくりの突拍子もない思い付きから、2人は契約結婚を決めてしまいます。それを周りに秘密にして、普通の結婚として押し通すことで、ストーリーはドラマチックに展開していきます。
みくりは、無職で家がなくなろうとしているため生活の保障を求めていました。一方、平匡は、家事全般を誰かに任せて、仕事や余暇に専念することを求めています。そして、平匡は、みくりの丁寧で気遣いのできる仕事ぶりに感心します。一方、みくりは、平匡の考え方や言い方が「すばらしいです。合理的です」と感激します。当初2人に恋愛感情はないですが、お互いの望みが一致しています。仕事の関係としての相性は抜群です。
2人の契約結婚の画期的なのは、雇用契約に見立てている点です。雇用契約書(結婚契約書)を用意して、雇用主(夫)と従業員(妻)という関係性を明確にしています。そして、平匡はみくりに適切な月給を支払います。寝室は別で、夜はそれぞれの勤務外時間(自由時間)となります。
厳密には、契約結婚は、婚姻届を出す場合と出さない場合があります。婚姻届を出す場合は、婚前契約書(結婚契約書)を結んだ通常の結婚となります。この契約書は、海外ではプレナップ(prenuptial agreement )と呼ばれ、フランスで25%、アメリカで20%のカップルがこの契約を結んでいます。一方、婚姻届を出さない場合は、結婚生活のルールを明確にした事実婚となります。まさに、2人がそうです。ちなみに、いわゆるフランス婚は、事実婚に当たります。フランスでは事実婚であっても、社会的なサービスが保障されており、またプレナップを結ぶカップルが多いため、一般的になっています。
また、2人は、表向きには夫婦であることを宣言し、共同生活をしています。このように、夫婦であるという意思があり、夫婦としての共同生活の実体があるので、法律的に問題はないです。ちなみに、通常結婚であっても、例えば2年間の期限をあらかじめ設ける婚前契約を結ぶことも法律的に問題ないです。