連載コラムシネマセラピー
私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション、メンタルヘルス、セクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。
私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーション、メンタルヘルス、セクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。
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・恐怖(ノルアドレナリン)
・自信
・自尊心
・受容
・私メッセージ
・アンガーマネジメント
・コーチング
・アサーション
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叱るために必要な基本要素を3つにまとめました。ただし、相手によっては、同じように叱っても、無効になったり逆効果になることがあります。ここから、相手の年齢と性格によって場合分けをして、叱るための基本要素のバランスや叱り方のバリエーションを見極めてみましょう。
①何歳を叱る?
1つは、相手の年齢です。これは、厳密には、実年齢ではなく、精神年齢(知的水準)です。年齢を大きく3つの年齢層に分けて、基本要素のバランスを考えてみましょう。
a. 乳児期と老年期-「受け止める」
1つ目の年齢層は、乳児期と老年期です。0歳から2歳の乳児期に重視される基本要素は、「受け止める」ことです。なぜなら、愛着を形成して、自尊心を育むことが優先されるからです。また、精神年齢(知的水準)で考えれば、重度から最重度の知的障害も、「受け止める」要素が重視されます。
また、65歳以上の老年期に重視される基本要素も、「受け止める」ことです。なぜなら、老年期(高齢期)は認知機能(知的水準)が低下しており、つい家族は本人を子ども扱いしてしまいがちですが、子どものように学習効果が期待できず、にもかかわらずプライド(自尊心)は高いからです。結果的には、家族関係を損ねてしまい、そのストレスから認知機能をさらに低下させてしまうリスクもあります(認知症のBPSD)。
つまり、知的水準が低すぎる場合は、「教える」「考えさせる」要素が無効または逆効果になります。
b. 幼児期から児童期-「教える」
2つ目の年齢層は、幼児期から児童期です。この2歳から10歳の時期に重視される基本要素は、「教える」ことです。なぜなら、社会的なルールを学習して、自信を育むことが優先されるからです。また、精神年齢(知的水準)で考えれば、軽度から中等度の知的障害も、「教える」要素が重視されます。
よって、知的水準が高くない場合、「教える」要素を前面に出しつつ、「受け止める」要素を保ち、年齢が上がっていくにつれて少しずつ「考えさせる」要素を増やすのが効果的です。
「考えさせる」要素の効果は限定的になります。なぜなら、「考えさせる」ことができるほどの知的水準には完全に達していないからです。
c. 思春期から成人期-「考えさせる」
3つ目の年齢層は、思春期から成人期です。この10歳以降の時期に重視される基本要素は、「考えさせる」ことです。なぜなら、自分で考えて行動して、積極性を育むことが優先されるからです。また、思春期は第2次反抗期でもあるため、「そんなの分かってる」「くどい」と思われるからです。
つまり、知的水準が高い場合は、「教える」要素が逆効果になります。「受け止める」要素を保ちつつ、「考えさせる」要素を前面に出すのが効果的です。これは、以前(2017年6月号)にご紹介したアサーションにつながります。