連載コラムシネマセラピー

私たちの身近にある映画、ドラマ、CMなどの映像作品(シネマ)のご紹介を通して、コミュニケーションメンタルヘルスセクシャリティを見つめ直し、心の癒し(セラピー)をご提供します。

【2ページ目】2020年1月号 ドラマ「マザーゲーム」【後編】-女性同士の人間関係、どうすればいいの?【「女心」へのコミュニケーションスキル】

①複数の人間関係を持つ-人間関係の流動化
希子は、幼稚園のママ友だけでなく、お店の仕事を通して、お客さんや助言をしてくれる人など様々な人とも人間関係を築いています。一方、ママ友たちはママ友集団という1つの人間関係しかありません。

1つ目のコミュニケーションスキルは、仕事、地域活動、趣味などでママ友以外の複数の人間関係を持つことです。これは、人間関係の流動化です。逆に言えば、人間関係を固定化させないことです。このメリットは主に3つあります。

1つ目のメリットは、群れる暇がなくなることです。それぞれの人間関係に忙しくて、1つの人間関係で群れている暇はなくなります。逆に言えば、暇を持て余すので、群れるのです。

2つ目のメリットは、格付けにとらわれなくなることです。それぞれの人間関係の違いを知ることで、集まる目的によって格付けの基準が変わってくる、つまり格付けの物差しは1つとは限らないことに気付くようになります。逆に言えば、様々な格付けを知らないので、1つの格付けにとらわれるのです。

3つ目のメリットは、逃げ道ができることです。いろんな人間関係で居場所があることで、1つの人間関係の居場所にこだわらなくなります。逆に言えば、1つの人間関係の居場所にこだわるので、逃げ道がなくなり、排除することにもされることにも敏感になるのです。

このようなメリットから、相手からのお誘いは無理して合わせず、断ることができます。距離をとるために、時々あえて断るのも1つのやり方です。その時は、「お誘いうれしいです。ただ・・・」と感謝しつつ、「義母が急に来ることになって」「近所の当番で」と自分ではどうしようもない理由付けをすれば良いでしょう。

②自分と相手の縄張りをはっきりさせる-人間関係の透明化
希子は、ママ友トラブルが起きると、毎回、「はっきり言わせていただきます」と決めゼリフを言い、率直に建設的な提案をしています。一方、ママ友たちは、「はっきり言わない」コミュニケーションが暗黙の了解になっています。

2つ目のコミュニケーションスキルは、率直さ、明るさ、前向きさによって、自分と相手の縄張り(バウンダリー)をはっきりさせることです。自分の縄張りに踏み込ませないと同時に、相手の縄張りに踏み込まないように、縄張りの境界線を意識することです。これは、人間関係の透明化です。「人は人、自分は自分」という考え方です。逆に言えば、その境界が曖昧になると、相手の感情に巻き込まれ、つい格付けや陰口に付き合ってしまいます。

例えば、あなたが他の女性の友達といっしょにいると、不機嫌になる別の女性の友達にはどうしましょうか? 彼女はきっと「どうして私のことを選んでくれないの?」という「女心」が芽生えているでしょう。その時には、「あなたは大切な友達だよ。私が誰といっしょにいたってそれは変わらないよ」とオープンに答えることです。また、このような女性から「それもう他の人に話したの?(なぜ自分に一番に話してくれないの?)」と言われたら、「うん、○○さんに話したよ」とさっぱりと答えることができます。そして、「一番に報告できなかったけど、あなたが大切だということは変わらないよ」と温かく言いましょう。その瞬間に選ばれなくても、あなたには価値があることを一貫性して伝えることが大切です。

では、「あなたの子どもがかわいそうよ(ママはそんなに好き勝手にしちゃだめ)」と言ってくるママ友にはどう答えましょうか? その時は「そうか、そういう考え方(感じ方)があるのね。勉強になった。」「そう思ってがんばっているんだね、あなたは本当に良いお母さんだね」とポジティブに答えましょう。「かわいそう」と思うかどうかは、相手の心の問題(縄張り)であり、自分の問題(縄張り)ではないことに気付くことです。同じように、「うまく行ってない人の気持ちも考えて(うまく行ってるからって幸せそうにしないで)」と「共感の押し付け」をする人には、「そういうふうに考えられるの、すばらしいね。参考にさせてもらいます。ありがとう」と肯定も否定もせずに答えることができます。配慮や自粛をするかどうかは、こちらが決める問題です。あくまで大人同士の参考意見として受け止め、お互いの考え方(縄張り)を尊重する意識を持つことです。

また、誰かの陰口を言う人にはどうしましょうか? その時は、「話をするのは苦手なの。でも、聞いてると悩みも似ていて、自分が癒される感じがする」と明るく答えることです。習い事の口出しには、「辞めた方がいいと思うんだね。考えとくね」「私のこと思って言ってくれて嬉しい。ありがとう」と答えましょう。しつこく勧められたら、「私、ずぼらだからそういう新しい習い事、本当にだめなの。あなたはすごいですね」「私、今いっぱいいっぱいで。せっかく教えてくれたのにごめんなさない」と留めることができるでしょう。

ただし、複数の人間関係を持って、自分と相手の縄張りをはっきりさせるというこれまでご紹介した2つのコミュニケーションスキルを使うと、ママ友集団から距離をとられて浮いてしまうことはありえます。このデメリットをどう受け止めれば良いでしょうか? その答えが、3つ目のコミュニケーションスキルになります。

③自分はどうしたいかを考える-人間関係の目的化
希子は、お店の仕事に一生懸命です。自分の仕事にやりがいやプライドを持っているだけに、周りからどう見られるかをあまり気にしていません。また、彼女は、ママ友たちの嫁姑問題や夫婦問題での困りごとには、何とか解決しようと働きかけてもいます。彼女は積極的でポジティブです。そこから、友情も生まれています。一方、ママ友たちは、いつも同じメンバーで表面的なやり取りにとどまっています。そして、日々あら探しをして、どう見られるか気にしてネガティブです。

3つ目のコミュニケーションスキルは、積極性やポジティブさによって、自分はどうしたいかを考えることです。これは、周りからどう思われるかではなく、自分はどう思うか、どうしたいかをまず一番に置くことです。自分の目標や自分の価値観(格付け)を持って、相手といっしょにいる目的を考える、つまり人間関係の目的化です。逆に言えば、「いっしょにいるためだけにいっしょにいない」ようにすることです。

例えば、先ほどに触れたように、ママ友集団からの疎外感から、「一人でいると、友達がいないように見える」「誰にも選ばれなかった」という気分に自分が陥りそうになったら、どうしましょうか? その時は、仲間がいないと不安になると思い込んでいる自分の心のあり方をまず見つめ直すことです。そして、自分は何に価値を置いているかという原点に返ることです。これもやはり自分の心の問題です。何かを選ぶということは別の何かを選べなくなることに気付くことです。自分は選ばれる側ではなく、選ぶ側になったことに価値を見いだすことです。そう考えると、「自立した人間として生きている証」「自立した女性はかっこいいという文化を発信していく自分」と思うこともできるでしょう。ママ友以外の人間関係があれば、「誰にも選ばれなかった」わけではないことに気付くことができますし、そもそも「選ばれている」かどうかを気にもしなくなるでしょう。

さらに、あなたの陰口を言ってくる人にはどうしましょうか? もしかしたら「子どもが人質」という考え方から、子どもがいじめに遭うと思うかもしれません。これも、自分の心の問題です。よくよく考えると、子どもは子ども同士の世界があります。実際は子どもに実害がほとんどないことに気付きます。

さらに、「ほら、私、ちょっと変わってるから」「空気を読んだりするの苦手だから」「そういうの苦手なの」と言って、普段からあえてちょっと変わった人を演じて、先手を打つのも1つでしょう。