【6ページ目】2019年3月号 映画「八日目の蝉」-なぜ人を好きになれないの? 毒親だったから!? どうすれば良いの?【好きの心理】
「八日目の蝉」とは?
恵里菜と再会して間もない千草が「蝉って何年も土の中にいるのにさ」「たった7日で死んじゃうなんてあんまりだよね」と言うと、恵里菜は「他のどの蝉も7日で死んじゃうんだったら、別に寂しくない。だってみんな同じだし。でも、もし8日目の蝉がいたら、仲間みんな死んじゃって。その方が悲しいよ」と言います。回想旅行をする最中、千草が「八日目の蝉は、他の蝉には見られなかった何かを見られるんだもの。もしかして、それすごくきれいなものかもしれないよね」と言うと、恵里菜は「そうかもね」と静かにうなずきます。
恵里菜は、「八日目」という状況を「ふつう」じゃないこととしてネガティブにとらえていました。それが、「ふつう」じゃなくても、「ふつう」じゃないからこそ、自分ならではのものが見れるとポジティブにとらえ直しています。それは、ひと言で言えば、希望でしょう。
私たちも、病気や事故などの災難に遭い、「八日目」を迎えた時、「ふつう」じゃないと絶望するか、それでも希望を見いだすかは、私達自身の心のあり方次第であるということに、この映画を通して気付かされるのではないでしょうか? そして、その心のあり方こそが、人を好きになることにつながっていくのではないでしょうか?
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参考文献
1)乳幼児のこころ:遠藤利彦ほか、有斐閣アルマ、2011
2)愛着障害:岡田尊司、光文社新書、2011
3)「毒親」の正体:水島広子、新潮新書、2018