【2ページ目】2025年4月号 海外番組「セサミストリート」【続編・その3】だから男性はこだわり女性は共感するんだ!だから人差し指の長さが違うんだ!―自閉症と情緒不安定性パーソナリティ障害の起源


②女性に進化する心理―共感性

一方で、男性に選ばれるのは、プレゼントを毎回あげたくなるような女性でしょう。もちろん、無事に子どもを産んでもらうために、見た目や肌が美しい(感染症の兆候がない)という身体的な特徴は重要です。これに加えて、必要な女性の心理とは、どんなものでしょうか?

例えば、以下です。

・男性の機嫌を察知する(感受性)。

・男性の声や動きをまねして合わせる(同調性)。

・男性にスキンシップをして気を惹く(操作性)。

・相手にされないと涙を見せる(操作性)。

・相手にされないと不安になる(見捨てられ不安)。

・相手にされないと嫌いになる(理想化と幻滅)。

・相手にされないと自分の頭や体を叩くなどなりふり構わない行動をする(自傷を含む逸脱行動)。

これらは、男性からのプレゼントをより確実にもらうためのアピール行動です。そして、そのための感受性です。つまり、女性に進化した心理とは、共感性であることが分かります。この共感性とは、同調性など気に入られるためのポジティブな共感です。不安・恐怖や嫌悪感など危険を避けるためのネガティブな共感は、約3億年前に哺乳類が誕生してから子どもを守るために生まれ、約2千年前に類人猿が誕生してから群れでお互いを守るためにさらに進化しました。

逆に言えば、共感性が高くない女性は、プレゼントをあげたいと思われないために男性から選ばれることはなく、性淘汰されます。プレゼントをあげたいと男性から思われる原始の時代の女性たちの子孫である現代の女性たちは、当然ながら無意識にも男性からプレゼントをもらいたがります。逆に、男性は女性ほど異性からプレゼントをもらいたがりません。

だからこそ、共感性はもともと女性に備わっている心理であり能力なのです。そして、男性ホルモンが低いと、相対的に女性ホルモンが高くなり、共感性が高くなるのです。逆に言えば、女性はプレゼントをもらう側なので、男性ほどシステム化を高くする必要はなかったのです。

以上より、プレゼントをあげる男性とプレゼントをもらう女性は、それぞれシステム化と共感性を性選択(性淘汰)によって進化させたと結論づけることができます。逆に言えば、1つの脳に両方とも進化させる必要がなかったのでした。そもそも、脳機能(脳容量)には限度があり、空間としてだけでなく性差として局在化したととらえることができます。だからこそ、この両者は、主に男性ホルモンをパラメーターとしてトレードオフの関係になっていることが分かります。